一番くらい痛い読書体験だった。~「ナイルパーチの女子会」~

最近柚木麻子先生の「ナイルパーチの女子会」を読んだ。面白かったが、とにかく読んでると心を指されまくった。ものすごく痛い読書体験だった。内容を軽く言うと、世田谷育ちのバリキャリ女子がとあるブログにはまり、そのブログ主と実生活でたまたま出会い、仲良くなるというもの。この設定とかはまあよくある?ガールミーツガール、ダブルヒロインものという感じがしてくる。推しが近くに住んでいるのもフィクションとしては変じゃない。とりあえず、最初の方は女友達がいなくて悩むバリキャリ女子で、共感を結構しながら読んでいたが、どんどん雲行きが怪しくなってきて、ひえっとなった。主人公の女友達への憧れが半端ないせいで、友情が執着に変わっていく過程が恐ろしいのだ。マジで。これ根っからの陽!って感じの人は分からないと思うが、自分のようにジメジメした人間にはこのジメジメした、気持ち悪い執着心が結構分かり、共感性羞恥的なものがすごかった。主人公を見るのはものすごく痛かったが、自省も含めて読みきった。意外とあんなにエグい話だったのに、最後はかなりきれいに終わり、読後感も悪くない。ものすごく「痛い」小説だったが「友情とは?」みたいなことをマジで考えさせてくれる良作だった。